涙は、私達がよりよく見えるために欠かせないものです。
主な働きは
- 目を外界から守り、乾燥を防ぐ
- 目の表面(角膜)に酸素や栄養をあたえる
- 鮮明な像を見えるように目の表面を滑らかに保つ
- 細菌などの侵入を防ぐ
- ゴミやほこりを洗い流す
涙は、私たちが瞬きをするたびに分泌されています。乾きそうになると、自然に瞬きをします。1分間に約20-30回程度瞬きを繰り返して、目の表面をリフレッシュしています。
しかし、読書やコンピュータ作業などをすると、瞬きの回数は約1/3に減ってしまいます!
ドライアイの原因の一つは、まばたきの回数が減ることです。
読書、パソコン、スマートフォン、運転などに集中するとまばたきが減り、目が乾燥します。
涙が減ると、目の表面にドライスポットという乾燥した部分ができます。
通常は瞬きをすると、涙が目の表面に均一に広がり、ドライスポットはなくなります。
ところが、涙の質が変わったとき、涙の量が減ったときは、瞬きをしてもドライスポットが残ったままになります。
目の表面の涙の層が不均一な状態で瞬きをすると、目の表面と瞼の裏側がこすれて、粘膜に傷がつき違和感を生じます。
やがて角膜の上皮がはがれおち、下のような細かい傷ができてしまいます。
このような状態になると、光が正しく目に入らなくなり物が見えにくくなります。
涙の層
涙は角膜の上に薄く広がって、油層、液層、膜型ムチンの三層構造になっています。
油層は涙の蒸発を防ぎ、液層は栄養・感染防止・細胞を治す成分が含まれています。
膜型ムチン(粘膜層)は目の表面の涙の膜を均一に滑らかにさせる働きがあります。
最近はドライアイの原因を涙液の層別に診断し、治療するという考え方が一般的になりました。
ドライアイの治療薬
- ムチンや水分を分泌するタイプ
- ジクアホソルナトリウム(ジクアス®)
- 粘膜(膜型ムチン)にはたらくタイプ
- レパミド(ムコスタ®)
- 涙(液層)にはたらくタイプ
- 水分を保持する ヒアルロン酸
- 水分を一時的に増やすタイプ
- 人工涙液(市販薬に多い) 効果が一時的
このように、様々な働きをもつ治療薬があります。
一時的に水分を補充するだけではなく、ムチンを増やし、目の表面を滑らかにする働きをもつ治療薬を続けて治療することが大切です。
残念ながら、ドライアイを根本的に治す治療はまだありません。
症状がいったん改善したからといって、点眼をやめてしまうと、元に戻ってしまい、改善するまでに時間と労力がかかってしまいます。継続して点眼することが、快適な生活を送るうえで欠かせません。
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